顧問弁護士契約を結ぶことのメリットとしての、
「法的トラブルの予防」とはどういう意味でしょうか?もう少し詳しく説明してください。

顧問弁護士契約を結ぶことの中心的な目的の一つは、法的トラブルの予防という点にあります。

取引先が倒産しかけて売掛金が焦げ付きそうである……、
取引先との契約に関して取引先が契約違反をしてきた……、
従業員が勤務条件につき不服をとなえ、訴えようとしている………、

等々、企業を経営している以上、
いくら万全の注意をしていても法的トラブルは避けがたいことと言えます。

しかしながら、弁護士として数多くの法的トラブルを扱ってきた経験からすると、
事前に債権回収に関してもう少し注意を払っていれば
被害発生を回避できあるいは被害を小さくできたのではないか……とか、
取引先との契約書について弁護士を交えて十分に検討していれば、
相手方から契約書の不備に付け込まれることはなくトラブルを防げたのではないか……等の
点が多々あります。

また、現在、「コンプライアンス経営」ということが叫ばれています。

これは企業が法令(あるいはより広く、社会的道義等も含む)を
しっかり順守して企業経営を行うということで、
いわば当たり前のことではありますが、
実際に、目先の利益に偏り過ぎて、法令や社会道義が軽視されることは少なくありません。

法令の内容や量は、業種によって様々ですが、
労使関係について労働基準法等の労働関係法令が適用される点は共通です。

自ら、法令に違反し、また、社会道義に反するような経営をしていれば、
法的トラブルに合う危険が増えるのは当然のことです。
その点では、自ら「コンプライアンス経営」をしっかり実行することが
法的トラブル予防の出発点とも言えます。

以上のように、日常的に、法的トラブル予防と言う点を意識することで
かなりの範囲で法的トラブルを回避することが可能です。

法的トラブル予防、コンプライアンス経営の実行という点では
日常的に弁護士と協力をしながら問題点をチェック、発見、是正していく体制を
とることがより効果的であり顧問弁護士を持つことが有効と言えます。

なお、一旦、法的トラブルが発生してしまうと、
経済的損失、日常的な経営活動の中断、障害、社会的信用の低下、従業員との信頼関係の低下等、
様々な面での被害発生は避けられません。

何よりも、経営者にとっては、法的トラブルの対応のために、
精神的苦労、時間、手間を費やされ、総じて多大な消耗をさせられます。

このように、法的トラブルが発生してしまうと、被害発生は不可避であり、
その被害をいかに最小限に食い止めるかということが課題にならざるを得ません。

したがって、法的トラブルの予防という点に、
精神的苦労、時間、手間、費用等、一定の負担があったとしても、
法的トラブル発生後の負担と比べると、はるかに意味があり、効果も大きいのです。