顧問契約は、弁護士の立場から見た場合、メリットがあるのでしょうか。

顧問弁護士契約は、何よりも顧問先にとって大きなメリットがありますが、
弁護士の立場からしても大きなメリットがあります。

弁護士に安定的な顧問料収入があることによって、手がける仕事量を無理して広げる必要もなく、
顧問先を中心として、日常的な相談業務についても、個別的に受任した法律事務についても、
より多くの時間をかけることができ、より充実した法的サービスを行うことが可能になります。

私(中島 多津雄)も含め、多くの弁護士の最大の理想は、
一つ一つの相談や交渉、裁判等、受任した法律事務について、必要な時間をかけ、
丁寧に仕事がやれ、顧客に信頼され、感謝されることかと思います。

しかし、私のこれまでの経験では、事務所経営上、多くの仕事を手掛けなければならず、
自分の理想とは裏腹に、忙しさに追われ、自分の納得のいく仕事ができなかったり、
あるいは、仕事に追われ、自分の自由時間がとれなかったり、
無理をして体を壊したり等のことが少なくありませんでした。

私の場合、仕事全体の中で顧問先関係の仕事が占める割合(執務時間、収入等の点で)は2~3割でしたが、
この2~3年以内に、顧問先を増やし、顧問先関係の仕事の割合を全体の7~8割にし、
顧問弁護士の仕事を中心とした仕事と経営に完全に転換していく計画です。

そうすると、必然的に現在よりも、
顧問先以外からの相談や依頼が受けにくくなるという問題が生じます。

しかし、相談や依頼を受けた仕事に必要な時間を十分に確保して、
迅速に、丁寧で親切な仕事をし、顧客も自分も満足できる仕事がしたいし、
そのことを一番大切にしたいと考えています。

また、このような顧問弁護士契約を中心に置いた経営の方向は、
最近の弁護士数激増による新人、若手弁護士の就職難や経営難等といった
弁護士業界の混乱を解決していくための大局的な方向でもあると考えています。