何事についても、費用の問題は避けて通れない重要な問題です。

弁護士費用については、弁護士が顧客から依頼を受ける場合に、
具体的に、明確に合意して文書(契約書)に明記する必要があります。
これは、顧客(依頼者)にとっても、弁護士にとっても必要なことです。

この点、従来、契約書を作成しないとか、契約書を作成しても、
抽象的で、実際にいくら支払うかが具体的にはっきりしない等が少なくなかったように思われます。
しかし、この様なことはしっかり改められるべきであり、
弁護士法人ひむか法律事務所では、できるだけ具体的に弁護士費用について明確にし、
かつ契約書に明記するようにしています。

実際は、個々の事件の依頼の際に、いつ、どのような場合に、
どれくらいの金額の弁護士費用がかかるのかを明らかにしますので、
費用がはっきりせず不安だったり、高すぎて納得いかなければ、依頼契約をしないということになり、
後日の不要なトラブル(弁護士と依頼者との)が避けられることになります。

一番問題なのは、弁護士費用を曖昧にしたまま、着手金(あるいはその一部)だけを支払って、
依頼をスタートさせることです。

以下は、このような弁護士費用を決める際の基準について述べることにします。

弁護士費用を決める基準

弁護士費用の基準については、
以前は、日本全部の弁護士に共通の基準がありました(「弁護士会報酬基準」)。
現在は、それが廃止され、個々の弁護士が基準を定めるようになっていますが、
私も含め多くの弁護士は、廃止前の弁護士会報酬基準を基本的に使用しています。

基準というものは、おおまかなものですので、
弁護士によって、個々の事件によって、かなりの差異が生じ、
結局は弁護士と顧客の皆さまとの間に信頼関係がなければ、うまくいかないことになります。

弁護士としては、将来にわたって信頼を得られるように、
誠実に費用を決定し、また、依頼前の時点で、具体的に分かりやすく費用を説明し、
かつそれを文書として明確にし、顧客の皆さまに安心していただくようにする必要があります。

1:<相談料>

「(法律)相談」とは、事件について、顧客の方から話しを聞いて、
事件の問題点や見通し、対応の方向性等を明らかにして説明するものです。
「口頭での鑑定」とも言います。

⇒ 相談料は、「30分程度で5500円」というのが通常で、私の場合もそうです。
「1時間かかったら、1万1000円」ということになりますが、
通常、1件の相談は、30分~40分程度で終了し、ほとんどの場合、それで、十分ですので、
その程度であれば、5500円以上かかることはありません。

2:<民事事件の交渉や裁判依頼の場合の弁護士費用>

民事事件の交渉、裁判の弁護士費用(弁護士報酬)としては、着手金と成功報酬の二つがあります。

【着手金】は、弁護士の活動費用の意味で、依頼開始時点で支払うもので、
依頼終了時に目的とした成果が得られなくても返還されることはありません。
この着手金の金額は、依頼の対象となる事件の大きさ(経済的利益の額)に下記のパーセントをかけて算出されます。

  • ○300万円までの部分(但し、最低は11万円) 8%+消費税
  • ○300万円~3000万円の部分    5%+消費税
  • ○3000万円~3億円の部分     3%+消費税
  • ○3億円を超える部分       2%+消費税

例えば、交通事故で損害が1000万円あるとして損害賠償請求をしているのに、
相手方は自分に過失はないとして支払いを完全に拒否しているものとします。
この場合事件の大きさ(金額)は、1000万円ということになります。
(もし、200万円の限度で相手方が支払いすることを承認している場合は、
差額の800万円が事件の大きさということになります)。

1000万円が事件の大きさ(金額)であるとすると、
これに対して、300万円までの部分については8%、
300万円を超える部分(つまり700万円)については、5%をかけて、
これらを合計した金額が着手金となりますので、59万円(税込64万9000円)が着手金の金額になります。

【成功報酬】は、交渉や裁判が全て終了した場合、
結果として目的としていた成果があった場合(成功した場合)に、支払う弁護士費用のことです。
この成功報酬の金額は、成果の大きさ(委任事務処理により確保した経済的利益の額)に、
下記のパーセントをかけて算出されます。

  • ○300万円までの部分         16%+消費税
  • ○300万円~3000万円の部分      10%+消費税
  • ○3000万円~3億円の部分        6%+消費税
  • ○3億円を超える部分           4%+消費税

着手金の場合は基本となる金額が、上記のように「事件の大きさ(金額)」であるのに対して、
成功報酬の場合は、「成果の大きさ(金額)」であり、
これにかけるパーセントは、成功報酬の場合、着手金と比べると大きくなっています。

前記の交通事故損害賠償の場合、
目的とした1000万円は獲得できなかったが、500万円獲得できた場合は、
成果の大きさは500万円ということになり、そのうち300万円までの部分について16%、
300万円を超える部分(つまり200万円)については、10%をかけて、
これらを合計した金額が成功報酬となりますので、68万円(税込み74万8000円)が成功報酬の金額になります。

この交通事故の場合、賠償金1000万円の取得を求めて弁護士に依頼したところ、
500万円を確保したということになりますが、前述のように、着手金が59万円(税込64万9000円)、成功報酬が68万円(税込74万8000円)で、合計127万円(税込139万7000円)の弁護士費用がかかったことになりますので、
差額の360万3000円が実際に手元に残る確保額となります。
(他に、郵便代、裁判の印紙代等が必要ですが、これらは弁護士に依頼してもしなくてもかかる費用です。)

弁護士に依頼せずに自分で対応した場合は、時間、手間、精神的煩わしさ等が加わります。

最も大切なことは、果たして、上記の360万3000円が確保できるかどうかという点ですが、
一般には、こうした見通しについて素人が判断することは極めて困難と思われます。

なお、何を持って成果と見るかとか、どのように金額を算定、評価するか等、はっきりしない場合も少なくないので、事前にその点を明確にして弁護士依頼契約をする必要があります。

3:<その他の弁護士費用>

消費者金融会社等を相手とする負債整理の交渉、過払金返還請求の交渉や裁判、
自己破産申立て、個人再生申立て等の事件も、弁護士が扱う事件としては少なくありません。

これらについては、弁護士によって、若干違いがありますが、私の場合は、以下のようにしています。
また、これらの事件については、弁護士費用の分割払い等も可能な場合があります。

ⅰ 負債整理の交渉

着手金は、1件につき、2万7500円~
成功報酬として、債権者からの請求金額を基準にして、減額できた額の10%。
さらに、債権者から返還を受ける事が出来た場合は、その返還額の20パーセントを加算する。

ⅱ 自己破産申立て

着手金は、33万円~
夫婦で同時に申し立てる場合は、着手金は、夫婦合計で55万円~
成功報酬はありません。

ⅲ 個人再生申立て

着手金は、金44万円~
夫婦で同時に申し立てる場合は、着手金は、夫婦合計で77万円~
成功報酬はありません。