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日本の法律制度は3審制度がとられていると聞いていますが、
そのことと弁護士の仕事はどのような関係がありますか。
民事事件について教えてください。 -
日本の裁判制度においては、例外もありますが、
基本的に、同じ事件について、3回審理、判断を受ける事が出来ます。第1回目の裁判は、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所のいずれかで行われます。
離婚、養子縁組等、家族関係に関する事件は家庭裁判所、
それ以外の一般的な事件のうち比較的小さな事件
(事件の規模を訴額と言う形で表しますが、これが140万円以下のもの)は簡易裁判所、
それ以外が地方裁判所と、一応、決められています。
この最初の裁判を第1審と呼びます。第1審の裁判所が判決を下した場合にその内容に不服がある場合には、
異議申し立てができますが、これを控訴(こうそ)と言います。易裁判所の判決に対しては地方裁判所へ、
地方裁判所、家庭裁判所の判決に対しては、高等裁判所へ控訴し、これらが第2審になります。さらに、第2審としてなされた高等裁判所の判決に対しては最高裁判所に上告し、
また第2審としてなされた地方裁判所の判決については、高等裁判所に上告ができ、
これが第3審になります。2回目の審理、つまり第2審までは、
基本的には、事実関係の審理も含め第1審と同じような審理が受けられますが、
第3審の場合は、法律問題だけを争うことができ、
最高裁判所の場合は、さらに、法律問題の中でも、憲法違反と重要な訴訟手続きの法令違反、
判例違反、重要な法令解釈違反等に限定されます。1回読んだだけではなかなか頭に入らないと思いますが、
大事なことは、通常の事件において、
憲法違反や重大な訴訟手続きに関する法令違反等が存することは極めて稀であるため、
通常の大半の事件は、2審までで実質的に決着がつくということです。なお、1審判決が2審で覆る逆転判決の確率は、統計的には確認していませんが、
私の経験(実感)では1割程度ですので、1審で全力を尽くすことが重要と思われます。3審制度と弁護士費用の関係ですが、
基本的には私の場合、着手金は、審級ごとに(つまり、1審、2審、3審で別々に)必要ですが、
事件の内容により、2審の着手金を不要とする場合、1審より少なくする場合もあります。3審(最高裁)への上告について本格的に依頼を受ける場合は、
他の弁護士も同じではないかと思いますが、私の場合はかなり少ないです。また、成功報酬については、事件全体が終了した際に発生するとする場合が多いので、
全体を通じて、1回だけ成功報酬をいただくという場合がほとんどです。いずれにしろ、個別的に依頼者との間で依頼契約をする際に、明確にしておくべき事項ですので、
不明な点があれば、依頼する前にはっきりさせておかないと、
弁護士と依頼者との間でトラブルになります。
(こうした問題は、基本的には、弁護士の側が、
契約内容を明確にして、トラブルを予防する義務があると思いますが。)
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