刑事弁護には、国選弁護と私選弁護とがあると聞いていますが、それぞれどういう内容で、どのような違いがありますか。
弁護人は、被疑者、被告人の権利、利益を守る為の補助者ですから、
本来、被疑者、被告人自身が弁護人になってほしいという弁護士を選んで、
選任するのが本来望ましい姿と言えます。これが私選弁護人です。

しかしながら、上記のような私選弁護人を依頼するには、弁護士費用が必要です。
ところが、貧困等の理由から、私選弁護人を選任できない場合に、
裁判所が選任するのが国選弁護人
です。

この場合には、自分がいいと考える弁護士を選択することはできません。

従来、国選弁護人の制度は、起訴後だけのものであって、
起訴されていない時点つまり被疑者段階では国選弁護がつくことはありませんでした。

しかし、被疑者国選弁護の制度は、2004年(平成16年)の刑事訴訟法改正
(平成16年5月28日法律第62号、平成18年施行)により初めて導入され、
その後の法改正により、対象事件が拡大され、
窃盗,傷害,業務上過失致死,詐欺,恐喝などの罪についても、
身柄の拘束(勾留)を受けている被疑者に国選弁護が認められるようになっています。

私選弁護人も国選弁護人も、弁護人としての役割、権限等は、
全く同じであり、差異はありません。