日本の法律制度は3審制度がとられていると聞いていますが、そのことと弁護士の仕事はどのような関係がありますか。
民事事件については別に説明がありましたが、刑事事件について教えてください。
また、3審制度と刑事弁護との関係はどうなっていますか?
刑事事件も、民事事件と同様、3審制度がとられています。
つまり、同じ事件について3回審理を受ける事ができます。

第1審の裁判所は地方裁判所と簡易裁判所です。
第1審裁判所で言い渡された判決に不服がある当事者は(つまり、被告人だけでなく検察官も)、
高等裁判所に対し,判決に誤りがあることを主張してこれを正してもらうことができます。
これを控訴といいます。

控訴の理由となりうるのは、
第1審の審理の方法(訴訟手続)が法律に定められた方法に反しているとか、
第1審の判決が事実の認定や法律の解釈適用を間違えているとか、
刑が重過ぎるとか軽過ぎるという場合などです。

被告人側からすれば、不服があるとすれば、
ほとんど刑が重すぎるということに帰着しますので、
実際ほぼ常に、控訴できることになります。

ただ、控訴審では,第1審と同じやり方で審理を始めからやり直すのではなく,
第1審の審理を点検して,その審理のやり方や事実認定,法令解釈に誤りがないか,
刑は適当かどうかということを調べることになります。

さらに、第2審である控訴審の判決に対しては,
当事者(被告人、検察官)から最高裁判所に判決の誤りがあることを主張して
これを正してもらうことができ、これを上告といいます。

上告は,控訴審の判決が憲法に違反していたり,憲法の解釈を誤っていたり,
あるいは最高裁判所の判例に違反していることなどを理由とする場合に認められます。

ただし、他方,最高裁判所の判決に対してはもはや不服の申立てができないことから、
上記以外でも,例えば,控訴審の判決で無罪とすべき者を有罪としてしまった場合や,
刑が著しく不当である場合など,これを取り消さないと「著しく正義に反する」ときには,
「原判決を破棄」することができることになっています。

このように、刑事事件については、第1審、控訴審、上告審の3つがありますが、
弁護人は、それぞれの裁判で独自に選任する建前になっています。

私選弁護人の場合は、同じ弁護士が引き続き弁護人をやる場合がありますが、
国選弁護人の場合は、通常、それぞれの段階で新たな弁護人が選任されます。